18 戦利品のコルトガバメントのモデルガン。 沼川貴宏(男子17番)は手に入れたばかりのモデルガンを舐めるようにじっくりと観察していた。 良い出来だ。 かなり精巧に作られているそのモデルガンが気に入り、貴宏は機嫌が有頂天に達していた。 これすごくいいよ! 最高の出来だよ! こんなの見たこと無いよ! 貴宏の頭の中にはモデルガンを手に入れたことへの喜びしか無かった。どのくらい嬉しかったか。それはもうこのモデルガンの感想だけで、原稿用紙10枚分の感想文が書けるくらいだ。 貴宏はモデルガンを手に持って観察したり、手に持って構えて撃つマネをしたりして楽しんだ。クラスメイト一人を殺したことなど、この嬉しさに比べると気にすることでもなかった。 貴宏は小一時間嬉しさに浸っていた。だがモデルガンごときで、貴宏の欲望を完全に満たすことなど、出来るはずがなかった。貴宏はそもそも、本物の銃が欲しかったのだ。 案の定、貴宏はモデルガン一つでは物足りなくなってきた。 モデルガンもいいけど、やっぱり本物の銃を手にしてみたい。 そう思ったときだった。遠くの方で銃声らしき音が聞こえた。もう一度その音が聞こえるかもしれないので、貴宏は耳を澄ましたが、その音はもう一度鳴ることはなかった。だが貴宏は確信していた。 今の音は銃声だ。 貴宏はわくわくしてきた。分校を出発してから初めて聞こえた銃声だった。そうだ、クラスメイトの誰かが銃を持っているのだ。 欲しい。その銃が欲しい! 貴宏は銃声が聞こえてきた方向へ向かって走り出した。もちろん目的はその銃声の主である銃そのものを手に入れることだ。 ちなみにその銃声は、富岡憲太が雅史に向けて発砲したときのものだったのだが、貴宏にはそんなことはどうでもよかった。とにかくそこに銃があるのなら、どうでもいいのだ。 【残り 39人】 トップへ戻る BRトップへ戻る 17へ戻る 19へ進む |
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